イギリス王立工兵隊募集ポスター（1890年） ポストカード

イギリス軍の工兵科の一つである王立工兵隊（おうりつこうへいたい、英: Corps of Royal Engineers、略称: RE）は、一般的にサッパー（Sapper）と呼ばれている。イギリス軍に軍事工学およびその他の技術支援を提供する。最高責任者は王立工兵隊長（Chief Royal Engineer）。王立工兵隊の本部および王立軍事工学学校（Royal School of Military Engineering）は、イギリス、ケント州のチャタム（Chatham）に所在する。王立工兵隊は、イギリスおよび北アイルランド、ドイツに駐屯するいくつかの連隊に分かれている。王立工兵隊は、ウィリアム1世（ウィリアム・ザ・コンクェラー）によってイギリスに連れて来られた軍事技術者（エンジニア）に起源を持ち、王室に900年以上にわたって絶えることなく奉仕してきたと主張している。エンジニアは常にイギリス国王の軍隊に仕えてきたが、現代の王立工兵隊と王立砲兵隊の起源は、15世紀に設立されたイギリス軍の兵器管理組織である軍備委員会（Board of Ordnance）にある。1717年、軍備委員会は、士官のみで構成される工兵隊（Corps of Engineers）を設立した。当初、工兵隊の指揮は士官のみが担当し、作業は請負の民間人である職人や労働者で構成される「アーティフィサー・カンパニー（Artificer Companies）」が担当した。 1782年、ジブラルタルで活動する兵士アーティフィサー・カンパニーが設立され、これは非士官の軍事技術者（エンジニア）の最初の例となった。 1787年、工兵隊は「王立（Royal)」の称号を許され、現在の名称である王立工兵隊（Corps of Royal Engineers）と改称され、同時に非士官と兵で構成される王立軍事アーティフィサー隊（Corps of Royal Military Artificers）が編成され、王立工兵隊の士官が指揮を執った。 10年後、従来別個であったジブラルタルのアーティフィサー・カンパニーが吸収され、1812年に王立サッパー・ミナー隊（Corps of Royal Sappers and Miners）に改称された。 1855年、軍備委員会が廃止され、王立工兵隊、王立サッパー・ミナー隊および王立砲兵隊の指揮権がイギリス軍の最高指揮官（Commander-in-Chief of the Forces）に移され、他のイギリス軍と同様に管理されるようになった。翌年、王立工兵隊と王立サッパー・ミナー隊は、統合されて王立工兵隊（Corps of Royal Engineers）となった。 1862年、王立工兵隊は、東インド会社のエンジニア部隊のイギリス人士官および兵を吸収した。 1911年、王立工兵隊は、イギリス軍で初めての飛行部隊であるエア・バタリオン（Air Battalion）を編成した。エア・バタリオンは、イギリス王立飛行隊（Royal Flying Corps）およびイギリス王立空軍（Royal Air Force）の前身となった。 王立工兵隊は、戦闘での功績を称える戦闘誉章（Battle Honours）は持っていないが、1832年にウィリアム4世から授与された「ユビクェ（Ubique、至る所）」という標語は、イギリス軍の主要な戦闘のほぼすべて、および小さな戦闘のいくつかにも参加したことを示している。もう一つの標語として「クォー・ファス・エット・グロリア・デュカント（Quo Fas et Gloria ducunt、法と栄誉が導くところ）」がある。 王立工兵隊の博物館（Royal Engineers Museum of Military Engineering）は、ケント州のジリンガム（Gillingham）に所在する。サッパー達は、彼らの名称が「王立工兵隊（Corps of Royal Engineers）」であって、「王立工兵隊（Royal Engineer Corps)」ではないことに誇りを持っている。彼らが言うには、この違いは、サッパーである者は誰でも王室に直接仕える資格があるという意味であると言う（例えば、王立信号隊（Royal Corps of Signals）や王立砲兵隊（Royal Regiment of Artillery）のような他の王室認定の部隊の場合、単に王室の部隊の一員であるというだけではない）。 第二次世界大戦の前に、王立工兵隊の新兵は、少なくとも5フィート4インチ（5フィート2インチのマウント支隊（Mounted Branch））の身長が要求された。彼らは、通常6年間（または予備役6年）を軍に仕えたが、4年と8年で構成される他のパターンもあった。ほとんどの他の部隊や連隊では上限が25歳であったが、王立工兵隊では30歳までが入隊可能であった。彼らは、チャタムの王立工兵隊デポ（Royal Engineers Depot）またはアルダーショット（Aldershot）のマウント支隊デポで訓練を受けた。