ヴィンテージタイプライターの妖精 ポストカード

よく私の店を覗いてくれた人々が私にメールを送ってきて、「しかし、あの話はどうやって思いつくんですか？」と聞いてくる。まあ、もう話す時期かなと思う。実を言うと、全く考えてない。私のおじさんウェンツェル（本当にそうなんだよ）は、いつだってコレクターだ。「彼はただのガラクタ集めの人よ」なんて、いつものようにため息をつきながら言い張る私のおばさんアンジー。彼がかつて交換したすべての電球から出る水銀を、80ポンドはありそうな巨大な瓶に入れて保存してあるのを見ると、確かにそう言えるかもしれない。けれど、彼らの物置小屋みたいな家の中でも、特に2階の物置部屋には、とっておきの不思議なものがたくさんある。そこでは、絶対に何でも見つけることができる。私が訪れるたびに、必ず何か口実を作って、2階でいろいろ漁ってしまう。そんなある日、古い旅行鞄が開いたままになっていて、その中にはこのタイプライターが入っていた。周りには、なんとも怪しい標本の瓶や、埃まみれの古い顕微鏡なんかもある。私が今まで見た中で、最もかっこいいものだった。絶対に手に入れたかった。 「お願いだから、ウェンツェルさん、彼女にやあげて！あなたの甥っ子でもなんでもないんだから、もう30年も使ってないでしょ」なんて、私のおばさんが叱ると、おじさんは「でも、でも……これは普通のタイプライターじゃないんだ！これはミシガン州グランドラピッズのフォックス社製なんだ！」なんて、しどろもどろに言った。結婚して45年、おじさんは負け戦はすぐにわかる人だから、「アンダーウッドなんて、誰でも知ってるわ！」なんて言って、私を横に連れて行って、「これは最高のものなんだ。だけど気をつけて、ムラがあるんだ」と、神秘的に言った。私はそれを持ち帰って、自分の書斎でいい場所を見つけてやった。別に使うつもりはなかったんだけど、紙を1枚セットして、実際のところを見てみた。レトロな感じが素敵で、気に入った。そうして寝てしまった。翌朝、書斎でコーヒーでも飲みながら、最近の私のアート作品のことが、きちんとタイプされてるのを発見した。誰が書いたのか、家族に厳しく尋問しても、誰も認めようとしなかった。その夜遅く、私の書斎から、かすかにタイピングの音が聞こえてきて、忍び足で見に行くと、ここにいる素敵な女性が、キーからキーへ飛び移りながら、文章の終わりごとに、ちょっとしたステップとシェイクを入れていた。私を見つけると、片足で凍りついて、古い傘立てに飛び込んだ。でも、後で戻ってきて、作品にサインをしてくれたみたいだ。Calliope Cookie って。Calliopeは私のミューズなんだ。彼女が私の話を全て書いてくれる。Winona Cookieが私のアートのインスピレーションになってくれるようにね。時々、彼女はストライキを起こして、紙の上に「All work and no play makes Calliope a soggy cookie」なんて、ひたすらタイプし続ける。そんなときは、ドライ・マティーニを振って、オリーブとタパスを皿に載せてあげると、とってもカラフルな話を書いてくれる。そういうわけで、私の話の真相と、これ以上のタイプライターが存在しないことについて話した。時には古いテクノロジーだって、利点があるものなんだ。 このオリジナルのアートとストーリーは、Ramona Szczerba 2009の著作権で保護されています。この素材の著作権は、商品の販売によって譲渡されることはありません。買主は、画像もストーリーも含めて、複製する権利を有しません。私の書面による許可なしに、複製することはできません。ありがとう！